キョン×古泉 ※もし古泉が歳を大幅にサバ読んでいたら…という捏造話です。
入浴後に俺は水分を摂取したくなり、家主にその旨を伝えた。
「勝手に飲んで頂いて構いませんよ〜」
許可を得たので冷蔵庫を漁らせてもらう。烏龍茶にコーヒーに野菜ジュース、こっちの缶はー
「そちらはお酒です」
俺の身体越しに冷蔵庫を覗き込んだ家主ー古泉一樹は、十代半ばで通せる外見を持ちながら実のところ御歳、25歳。余裕で飲酒できる年齢なので、家に酒類が備わっているのは自然なことだった。対して俺は飲酒は法律に引っかかる15歳だ。…ここは無難に烏龍茶か
「禁止されていると尚更興味が出てしまうものでしょう」
古泉は悪戯っぽい笑みを向けてこう言ってきた。
「ちょっとだけ、飲んじゃいます?」
勿論興味はある。しかしその冒険心が働いたお蔭で孤島の合宿時には痛い目を見たしな。今夏俺は金輪際酒は止めておこうと固く決心したのであった。
「何度か飲んでみて、自分の限界を知っておくのは大事ですよ。今日は泊まって行かれることですし、もし酔い潰れても大丈夫です。介抱させて頂きますよ」
「ーそうだなあ」
それもそうだな。と決意を軽く翻し、好意に甘えて一杯頂くことにした。1回酔っぱらったくらいで全員が禁酒してりゃあ、この世界から酒の需要が無くなってしまうだろ。折角酒の飲み方をご教授してくれようとする大人が傍にいることだし。
レモン生搾りとラベリングされた缶チューハイを選ぶと、古泉がグラスに氷と一緒に注いでくれた。
「美味しいですか?」
「ああ」
これなら普通の炭酸飲料と変わらない気がする。アルコール度数4%だもんな。
「そうですか。でも油断して一気はしないで下さいね」
日本酒の入ったグラスを傾ける古泉はなかなか様になっている。そういや孤島の時も酔った素振りは見せなかったな。
「酒は強いのか」
「強くはありませんよ。自分に合った飲み方が分かっているだけです」
おお、オトナって感じぃー
「ふっふっふ」
俺達は酒をちびちびやりながら陽気に言葉を交わした。少々酔ってきたかな。ふと視界に入った時計の針は、午後11時を指していた。ちなみに今日は土曜日で、明日は団活も無いので夜更かしが許される。食事も風呂も済ませたし、これを飲み終えたらヤることはあと1つだよな。俺と古泉がした回数はまだ片手で数えられるくらいだ。それでも、
「最近俺、古泉のイイ所が分かってきたかも」
「ぶっ」
ちょうど酒を口に含んでいたらしい古泉は盛大に噴き出した。素早く布巾で机と自分の服を拭きながら、強い口調で返された。「馬鹿ですか」……せめて平仮名で吐息混じりに言い直してくれないか。んまあいい、今の俺は気分がいいからな。
「今夜はこれまでの中で1番ヨくしてやるぜ!」
「そんな宣言はしなくて良いですからっ。というかキャラが変わってますよ?」
ほろ酔い気分のテンションハーイ!な俺は、そんな戯れ言を言いながらゆっくりとグラスを空かしていった。と…思う。
ごそりと布団が擦れる音で目を覚ました。窓の外が明るい。もう朝か。
俺はちゃんとベッドの上で布団をかぶっていたが下半身に何も身につけておらず、横を見やると古泉が全裸で背を向けて横たわっていた。雰囲気は明らかに事後のソレである。あれ。何かおかしくないか。思考を巡らそうとすると頭がガンガン響いた。そんな量飲んだっけか。あれからすぐに寝ちまったのかな。
「古泉、起きてるか?」
頭だけを振り向かせた古泉の表情が心なしか不機嫌そうに見えて、その身体の位置はなんだか距離を取られているような気がする。
「昨晩は…ヤったっけか」
「ええ!覚えてないんですか!?」
強い非難の声音に驚いた。俺は若干その迫力に気圧されて、
「こ、古泉さん……なんか怒ってます?」
敬称付きで問いかけてみたが、黙って睨みを利かされた。滅多にお目に掛かれない表情に見惚れそうになるが、そんな場合では無い感じがする。誰か事情の分かる奴、俺に状況説明をしてくれないか。
「ほんとうに覚えてないのですか…」
古泉は溜息混じりに言いながら身体を仰向けた。
「ヤったんだよな?」
再びキッと睨み据えられた。美人の怒った顔って…怖いのな。その反応から推理すると、記憶には無いが俺達は昨晩身体を重ねていて、古泉はそれに関して何故だか大層御立腹のようなのだった。
「あなたがあんなことをする人だったなんて思いませんでした」
「なあ、俺は一体何をしたんだ」
「はあ…。全て記憶のあるこっちの身にもなって下さい」
ナニをどうするればここまで古泉を怒らせることができるのか、想像してみよう。
俺は昨晩酒を飲んでおり、記憶が吹っ飛ぶくらいに酔っ払っていた。例えば…そうだな、これまでは正常位ばかりだったけど、昨日は無茶な体位でやってしまったとか。はたまた小道具を使用したプレイで引かれたとか。だがそれらしいモノは周りを見渡しても皆無だ。両者好奇心をそそるが、今のところ至って純粋にノーマルな行為が楽しいし大満足なのだ。特殊なプレイ経験が無い俺にはこの程度しか想像できないし、考えることも適わぬことなんぞ到底実行できるわけがないだろう。
俺は本当に何をしたんだ。どんな酔態を晒したんだ。
「何かをしたというより……うう…やっぱり僕の口からはとても言えません。言いたくありません。忘れたい」
ちょっ…そこまで。トラウマになってたら困るな。もしこれからのアレコレに支障を及ぼすのなら激しく自分を恨むことになるぞ。
「痛くしちまった?気持ちよくなれなかったんだな?」
こう言った途端、古泉は眉を下げ頬を紅潮させて目を伏せた。何だろう。ひょっとして答に近づいたのか?だとしたら最悪じゃねえか俺…
「古泉、ごめんな。分からんけど、とにかくごめん。許してもらえないか。すまなかった…」
限界までに優しい声を振り絞って謝罪の言葉を紡ごうとする。自分の語彙の貧弱さが忌々しい。
「いいえ…お酒を勧めたのは僕ですし…それに、あの、」
「……気持ちよかったですよ」
その困ったような、けれど満たされたふうな艶っぽい笑顔を見た瞬間。おかしな話だが、酔っている間の自分に対して嫉妬の念を覚えた。
※未成年の飲酒は法律で禁じられてるんだっぜ
年上シリーズと化しててびっくり。あっれー古泉はタメ派なのにな説得力無い。
ところで一体ナニをしたのでしょう。キョンは覚えが無いようなので(笑)古泉視点で書いてみました。
2007/9/20