花札あそび

文章(裏)

キョン×古泉 ※もし古泉が歳を大幅にサバ読んでいたら…という捏造話です。

年 下 ノ 恋 人  「 酔 夢 」

 目覚めた時の彼の反応を見て、ああ、あれは夢の中の出来事だったのだーと安堵した。しかし腰に纏わり付くだるさを感じて、瞬時に昨晩の記憶が蘇ってきた。
  こちらだけ何もかも覚えているなんて不公平すぎる。無かったことにするには色々ありすぎて、彼にどう接したものか分からなかった。彼には少々強く当たってしまったかもしれない。

 

 

 僕は飲酒は好きな方で、お酒自体もだけど特に独特の時間の流れが心地よくて好きだった。これまでは仕事絡みの飲み会がほとんどだったから、今こうして好きな人と杯を交わしていることがとても嬉しい。未成年のあなたに飲酒を勧めるなんて駄目な大人ですよね。
  缶チューハイ1杯ではそこまで酔わないだろうし、もし酔っ払っても僕の家だから介抱して寝かしつければいいだろう、と軽い考えでいた。
  この時間が終わって欲しくなくて日本酒をちびちび飲んでいると、

「…まだ飲んでんのかよー」

 と、いきなりグラスを奪われて口づけされる。口を開いていたから簡単に舌の侵入を許してしまい、含んでいた酒を嘗めとられた。彼の喉がこくりと鳴るのを感じる。まるでそれが目的だったようにすぐ口を離されて一言。

「美味い」

 彼はぼそりと感想をもらして机上に手を伸ばし、僕のグラスを取って自分の口元に運ぶと一気に傾ける。しまった。

「それ、あなたが飲んでいたお酒の、アルコール度数4倍の強さですよ!」

 僕だって一気には飲めません。ましてや飲酒初心者がそんな飲み方をしたらどうなるか…

「だってー早くセックスしたいんだもん」

 語尾の可愛さに誤魔化されかけたが、清々しい程にストレートな台詞には突っ込む気も起こらない。…まあ、酔っぱらっていることですし仕方ありませんかね…。
  顔を赤くして目をとろんとさせている彼は可愛くて、微笑ましく感じてしまう。口に出したら怒るんでしょうけどね。彼は床を這ってすすす、とこちらに近づいてき、抱きついてきた。肩口に頭を置かれて頬に髪の毛が触れるのがくすぐったい。彼の身体はアルコールのせいでいつもより暖かく感じて、甘えられているみたいな体勢に良い気分だった。僕は肩上の髪をなでながら言った。

「今日はもう寝ましょうか」

 抱きつかれたままその身体を支えて立ち上がりベッドへ移動した。ゆっくりと横たわらせて布団をかぶせる。孤島の時もこんな風に、酔ったあなたに付き添って部屋まで送りましたね。

「お水いりますか?」
「いらん…。古泉…」

 気だるそうだけれど気持ち悪くはないらしい。いいですよ、何もお気になさらず朝までゆっくり休んでください。

「おやすみなさい」

 グラスを片づけなければとベッドを離れかけた時、いきなり腕を引っ張られてバランスを崩した。

「うわ…!」

 頭が振られぐらりとして、目を閉じた次の瞬間。背中の下にはふわりとした感触があった。彼を寝かせたはずのベッドの上に自分は居て、その彼は見上げた先に…あれ、何ですかこれ

「してない」

 彼の身体の下に組み敷かれていた。長門さんばりに簡潔な台詞ですが、ええ状況と流れから意図せんとする所は分かりますよ。けれど意味は分かりません。

「あなたそんな状態でまだ…っ!」

 服の上から突然局部を撫でられたものだから、驚きのあまり続きの言葉を飲み込んだ。更にジーンズの前を開かれて直に触れられる。

「ちょっちょっと駄目ですって!あなたは酔ってらっしゃるんですよ。今にも眠りにつきそうだったじゃないですか」
「えー?酔って無えよー」

 いえいえ完全に酔ってます。酔っている人ほど酔っていないと言い張るものなんです。と…とにかく手を止めてくれません…か…

「古泉だってしたいだろ?ほらコッチは素直だぞー。…ってセリフ官能小説で見るたびに笑えちまうんだよなぁ、あっはは」
「笑えません!もう、大人の言うことを聞きなさいっ」

 手を動かし続ける彼に抵抗して言うと、むっと口を尖らせて眉を寄せた。

「子ども扱いするなよ」

 途端に彼の表情が豹変した。声色と同様に冷たいそれに、背筋に寒いものが走る。

「ごめんなさい、そんなつもりは、無かったんですっんん!」

 手の動きが激しくなって、腰に引っ掛かっていたジーンズを下着ごと取り払われる。押し倒されて、いきなり1番敏感な場所を扱かれて、いつもより速い展開に思考はついていかなくて、なのに身体は反応していて、

「すみません…はっ、ん」

 自分が怒らせてしまったことと酔った勢いで、このまま慣らさずにされるのではないだろうか。それは困る、怖い。

「いや…だ止めて…」
「古泉。イっちまえよ」

 耳元で囁かれた息の熱さと、予想に反して優しさを浮かべる瞳に、一気に快感の波が押し寄せてくる。彼に言われるまま、手の中に精を放ってしまった。

 

「…さっきは、下らないことを言ってしまい…すみませんでした」

 ある程度息を整えてから謝罪した。10もの年の差は彼の方が気にしているだろうに、無神経なことを言ってしまった。信じて下さい、あなたを子どもだと思ったことなんか1度も無いのですよ。

「分かってるから、もう気にすんな」

 彼は破顔して言ってくれた。

「俺が子どもなのは事実だしな。ただ…古泉をいつも気持ちよくしてやれてんのかな、って不安に思うことがある」
「ふふ…気持ちいいですよ?」

 現に今僕は、あなたの手練手管に堕ちたばかりじゃないですか。

「うーん。けどよ、ココは適当に触りゃあ誰だってイけるよな」
「そんなことは無いでしょう」
「……」

 彼は無言で髪に手を伸ばしてきた。額と頬にかかっていた髪の毛を横に流されて耳が露わになる。

「俺さ、古泉はここが弱いと思うんだよな」
「っひゃあ」

 変な声が出てしまった。耳朶を甘噛みされたのだ。

「どうだ?」

 全体を食むように口に含んで、耳裏や耳朶の溝を舐め上げられて、舌先が中に滑り込んでくる。いけない…これはいけない

「っは…ふっ…」
「いいだろう?」

 満足げに微笑まれた。今、下半身をチェックしましたよね。うう…否定はしませんが…
  彼は1度耳朶を吸うように口づけた後、首筋に顔を埋めて同じように噛んだり舐めたりして刺激を送ってきた。手元はしっかりしているようで、素早くシャツのボタンを外された。

「鎖骨の窪みとかー」

「意外と脇の下ー」

「内腿はガチだよなあ」

 ここ?ここか?と、普段の彼からは考えられない妙なノリとテンションで進行して行って、まだ酔いが醒めたわけじゃあ無いのだなあと思った。そんな何かの実験みたいに…なんだかすごく嫌だ…

「つか、全体的に敏感だよなお前」
「っ!お酒のせいですよ!」

 そうに違いない。そういうことにして頂きたい。

「そうだな。1回イってるからな」

 …情報の伝達に齟齬が発生している。
  臍の周辺を撫でていた手が上がっていき胸に触れた。両脇から寄せて上げるように手を這わせる。

「申し訳ありませんが、揉むほどありませんから…」
「うん。まー今更」

 つと彼の指が左胸の突起に当たって、そのままコロコロと転がすようにいじられる。

「んっ…」

 先端を爪で引っ掻かれて、指の腹で押し潰すように触れられて

「男でも感じるんだな…どんどん硬くなっていくぜ」

 にやりと笑ってピンッと弾かれた。

「うぁっ」
「わー楽しぃー」

 親指と人差し指で摘んでもてあそびながら、触れていなかった右胸に顔を近づけられる。濡れた感触を感じるので、咥えて舐められているのだと思う。両胸を同時に責められて、感じたことがない感覚にわけがわからなくなって、ぎゅっと瞼を閉じた。

「すっげ赤い…いろっぽい…」

 器用に責め続けられて、彼は一体どこでこのような技巧を身につけたのだろうと不思議に思うくらいだ。同時に胸だけでここまで反応してしまう自分に戸惑う。我慢したいのに声が漏れて、ますます刺激を強められた。

「ん…!」

 右胸を痛いくらい強く吸われて、一瞬頭の中がショートしたみたいに真白になった。

「っ古泉、ここでイけるか…?」

 かれこれ10分くらい胸ばかり弄られただろうか。イってたまるもんですか…僕は男ですよ…
  視界がぼんやりしているが、彼の頬が上気していることが分かる。

「もう、止して下さいっ」

 一人で気持ちよくなるのはいやだ

「強情な奴め…」

 仕方無えなあ、と呟いて、片手を下肢に伸ばした。先程達して以来触れられていなかったそれは張り詰めていて、限界が近いことを知らせている。

「イっちゃえよ」

 その不敵な笑みに、腰から背中にかけてゾクリと這い上ってくる衝撃が駆けぬけた。口に右胸を含んだまま下を強く擦られて

「…あぁ、っん……!」

 耐えきれず、再び1人で達してしまったことがショックで、顔を腕で覆った。

「うう…ばかっ…」
「やっぱその言い方、いいねぇ」

 酔った勢いで…とはよく言うけれど、焦点を合わせ窺った彼の顔は寧ろ余裕があるように見える。やたらと無邪気で口数が多くて、けどやってることがやってることで。
  これまで4回身体を重ねたけれど、今みたいに挿入せず一方的に、全身を試すみたいに責めたてられることは初めてだった。身体は体験したことのない種類の快感に痺れていて抵抗しようにも力が入らない。自分だけ余裕が無いみたいでイヤだ。

「良かったか?ここ」

 ぐりぐりと強い力で乳首を押し潰される。そこは力を失った下半身と違って、硬度を保ったままだった。

「もっ、また」
「痛いくらいが気持ちいいのか」
「嫌だ、よくありませっ、ん…」
「古泉ってマゾだろ?」
「え?!ちっ違います!」

 また変なことを言い出した。痛いのは嫌ですよ当然でしょう。血とか苦手ですしなるべく怪我するようなことはしたく無いですし。

「悪と闘い世界を守るヒロイックな使命感を誇り、苦痛を伴いながら陶酔感と達成感を得ている。俺が言っているのは性的嗜好の話だが、マゾの人の基盤にそういう自己犠牲や逆境への親和があるらしいぜ。まさにお前のことじゃねえか」
「出典はどちらですか…いえどうでもいいです。否定します」
「少なくともサドでは無いだろ?つうか俺がSだからさ、古泉はMになった方が愉しめると思うぜ」
「えー!」

 さらりとサディスト宣言された。本気ですか。今までそんな素振りは見せなかったですよね?

「安心しろよ。あくまで性的サディズムだから。愛と思いやりのあるSだし。お前が気持ちいいのが前提」
「……」

 頭がくらくらする。…いや胸の先端を引っ張られてるせいじゃないですよ。痛いというか変な感じで、快感ではありませんからねっ

「はぁ…僕だって…」

 こちらは全裸なのに彼は服を着込んだままで。

「あなたに気持ちよくなってもらいたいです」

 彼の手が止まった。

「自分だけよくしてもらうなんて駄目です。僕もあなたが感じているところを見たい」

 当たり前でしょう?驚いたように瞬きしたあなたの頬が染まっていく。

「可愛い」
「黙れっ」

 彼は観念したように胸から手を離すと、半身を起き上がらせた。

「……分かったよ。お前の言う通りにしてやるから」
「はい」

 ………

「いや、言えよ」
「はい?」
「ナニをどうして欲しいんだ?」
「なっ。分かっているでしょうに…このサディスト!」
「フッ。分からんな」

 いい性格してますね…。だけどこちらだって求められているような反応はしてあげませんよ。何故なら僕はマゾじゃないのでね。断固として認めませんから!

「…あなたのジーンズの前、さっきからキツそうですね。ベルトを弛めて楽にしてさしあげたらどうです?」
「む…!」
「どうして欲しいかという問に対しては、あなたが最初におっしゃった言葉を借りてお答えしましょう」

 目を細めて如才無い笑みを作り言ってやる。

「セックスしましょう」

 さすがの彼も口をあんぐり開け絶句している。あれえ、僕が口にしたらだめなんですかー?

「勿論ちゃんと慣らしてからですよ。酔いが醒めてらっしゃらないようですが、くれぐれも慎重に。ゴムの装着もお忘れなく」
「てめえ…かわいくねぇ……」
「ふふっ」

 ざまあ見やがれですよ。
  彼は素直にベルトを弛めてから、僕の脚を持ち上げて後孔が露わになるように膝を立てた。正直恥ずかしい格好だと思うが、今はなるべく恥とか躊躇いの素振りを見せたくない気分だ。
  やはり言った通り慎重に侵入してくる指の動きは、これまでの4度の行為と変わらなくて安心する。

「もう…いけるか…」

 ばらばらと動かされていた3本の指が引き抜かれた。彼はジーンズと下着を下ろして、予想通り勃ち上がっていたそれをあてがった。飛ばしてきた視線に小さく頷きを返す。

「つっ…は…あ」

 息を吐いて力を抜こうとするが、顔を歪める彼を見やるに上手く出来ていないようだった。

「クッ…古泉、大丈夫か」
「ええ…だいじょうぶ、です」

 この異物感には慣れないけど、痛みは…耐えられないほどじゃない。太腿の裏をさすられながら、自ら少し脚を開いてみて受け入れる。

「はぁ、入ったぞ…」

 僕も彼もあの最初の頃と余裕の無さは変わらなくて。身体に1番負担のかかる行程だけれど、彼の懸命さがたまらなく好きだった。腰に手を当てて押さえつけるようにして、ゆっくりと動き出す。

「はっ…はあ…」

 彼は息を荒げながら、円を描くように腰をグラインドさせる。感じてくれてるようだ…よかった。自分も内側からじわじわと、痛みや違和感とは違った感覚が生み出されているのを感じる。

「ぁ…ん」
「古泉っ」

 急に動きを止めたと思えばぎりぎりまで引き抜かれた。と思ったら

「ん…?…っひあ!あっ…うあ……っ」
「ここか?」

 一点を狙うように貫かれる。何度も何度も

「くぅっ……やぁ…なに、んんっ!」

 激しく擦り上げられる。なに?何で、こんなに

「分かってきたって言ったろ。ここ、他と違うんだろ?」
「はぁ……もぅ、」

 やめてほしい。集中的に突かれている場所から全身に波打つように快感が広がっていくのが分かる。逃げるように身体を捩じらせても刺激が追いかけてくる。

「すっげ熱い、きつくて…気持ちいい……」
「あぁ、うそ…いやぁ…」

 こんなに、大きな快感があっただなんて…こんなに、中で感じてしまうなんて。自分じゃないみたいに高い声が恥ずかしい。怖いくらいに感じていて戸惑う。的確に快感のみを送り込んでくる……これもお酒の力なのですか

「なぁ、古泉っ」
「ぅん…?」
「……10も下のガキにヤられてどんな気分なんだ」

 熱に浮かされたみたいに頭の中はもやが掛かっていたが、考えなくても答は出ている。すぐに答えようとするけど、あ、とかう、とか上手く言葉を発せられない。そんな僕の様子に気づいてやっと腰の動きを止めてくれた。

「…関係ありません、あなたは…あなただから」

 意味は伝わっただろうか。ちゃんと笑顔で言えただろうか。

「幸せ、ですよ」

 あなたになら何をされてもいい。…ただSM行為の方は自信が無い、ということは付け加えておいた。
  彼の硬かった表情がゆるゆると溶けていって、何かを言おうとしたけれど口を閉ざして

「ん」

 優しくキスをされた。背中と布団の間に腕を滑り込ませ、抱き締められる。密着した彼の身体は暖かくて心地よかった。僕も彼の背中に腕をまわした。

「…また、動いてもいいか」
「お願いします……」

 先程とは違うゆっくりとした動きで除々に登り詰めていく。

「はぁ、はっ、もうっ……」
「くっ、俺も」

 震える身体をぎゅっと抱き締め、名前を呼び合いながらほとんど同時に果てた。
  彼の身体はぐったりとして、体重がかかってくる。絶頂の余韻はいつもより長く感じた。
  一夜に3回も達してしまった…思い返すと、沢山みっともない姿を晒してしまったように思う。穴があったら入りたい。
  巡りの悪い思考回路を動かしていると、頭の横からすーすーと寝息のようなものが聞こえてきた。

「寝てる……」

 思い違いかと思ったそれは寝息以外の何者でもなく、気持ちよさそうに眠る彼の顔がそこにあった。寝顔はいつも通りあどけなくて拍子抜けしてしまう。抱き締められたままで、

「うわっ、ちょっと!抜いて下さいよこれ!」

 彼自身が中に入ったままだった。
  頬や背中をぺちぺちと叩いてみるのに、一向に起きる気配は無い。一体どうしたら…

「んん、…っ!」

 覆いかぶさった身体を押し上げると、ぴちゃ、と水音が響く。そういえば下腹部に広がるこの熱…余韻じゃなくって

「…うそ。中に?」

 ゴム着けてらっしゃらないじゃないですか!…これはまずい…と、とにかく

「…よいこらしょっ…と……」

 覆いかぶさった身体を押し上げながら、じりじり這い出るのと同時に抜くことに成功した。一緒に精が零れ出るのを感じる…けれど、多くは入ったままのはずだ。はぁ。

「もう二度とお酒は飲ませません…」

 翌朝彼に言う不平不満の文句を考えながら眠りに落ちていった。




 本番を飛ばし続けていたのでここらで一発書いてみましたが。これひょっとしてそれまでの比較対象になる話があった方が良かったのでしょうか。色々なパターンを妄想しましたが無邪気攻めで行ってみました。SM的なのは、また別の機会ということで
2007/9/25