古森古 ※森古色が強いと思います。2人とも病み気味ですので注意
闇色の空に亀裂が走り、開けた世界が色づきを取り戻す。同時に大勢の人間が出現し一斉に動きを再開した。
灰色の空に居た少年にとって現世は眩しすぎて、立ちくらみを起こしてよろめいた。
古泉一樹は閉鎖空間に侵入して神人と戦闘を繰り返すことを苦に感じていなかった。
神人を討伐した後には“ご褒美”が待っているからだ。
古泉を乗せた黒塗りタクシーは自宅へは向かわずにあるマンションの前で停車する。運転手に礼を告げて素早く降車した古泉はマンションの階段を駆け上り、目指した部屋の扉の鍵は掛けられていないことを知っているから内開きの扉を勢いよく開けた。
「おつかれさま」
「森さん!」
薄い微笑みを宿して玄関に佇んでいたのは、古泉と同じ「機関」に属する森園生だった。
手を放した扉が自然に閉じるよりも速く、古泉は靴を脱ぎ捨てて森に抱きついた。古泉は森より頭1つ分大きな図体を持つため、普通なら抱き締めると言った方が相応しいかもしれないが、森の肩に頭を乗せて体重を預ける光景にその表現は不適切であった。
「もうっ、重い!あなたいつまで子供気分なの?そりゃあ昔はわたしの方が背が高かったけれど、そろそろおかしくないかしら?」
「ふふふ。いいんですよ。僕は森さんの前ではいつまでも変わらないんです」
「まあ。大きなお子さんだこと」
会話は微笑ましい内容だったが、森の手は古泉の制服のベルトに掛けられている。
ベルトをするりと引き抜いて玄関に落して、清らかな笑みで見上げると古泉も無邪気に微笑み返した。
森が手を引き薄暗い室内に導いて行く。
カーテンの閉められた寝室は整えられたベッドが1つ。その他にはほとんど物が無い殺風景な部屋だった。
「大丈夫?疲れてたら休んでくれて構わないわよ」
「意地の悪いことを仰らないで下さい。僕が何の為に日々戦ってるのかご存知でしょう」
「はいはい、ごめんなさい」
森は駄々をこねる弟を寝かしつけるしっかり者の姉のような動作で古泉の身体をベッドに押し傾けた。頬を膨らませていた古泉も従順に身を任せてベッド上に仰向けで横になった。
「いい子ね」
優しいお姉さんの声色に古泉は屈託のない笑顔を浮かべる。森は古泉の投げ出した脚の上を跨いで馬乗りの体勢をとった。古泉のズボンのファスナーをゆっくり下ろして、下着の中にそっと指を入れる。足の付け根を労わるように撫でてから性器を取り出した。上下にゆるゆると扱いていくとされるがままの古泉が声を上げた。
「あははっ」
その行為に似つかわしくない純粋な笑い声だった。
「最近どう?」
「閉鎖空間の発生頻度は通常通りです。学業の方もお陰様で高校受験が無事終了し、順風満帆といったところです」
「そう。よかった。何かヤなことがあったらすぐにお姉さんに言うのよ。あなたを脅かすものはなんだって許しませんから」
「大丈夫ですよ。んっ…この時間があれば、僕は何事にも負けません…」
古泉の澄んだ眼差しに森は緩やかに微笑んだ。
外気に晒された性器はすっかり勃ち上がり物欲しそうに揺れていた。
「森さん…」
古泉が甘えた声でねだると森は手を止めて、自分の胸元に移動させる。シャツのボタンを一気に4つ外すと下着を着けていない胸が露わになった。質量のあるそれを揺らして脚上から退き、古泉の身体を引き起こす。
「どうぞ」
森は壁に背を凭せ掛け、透き通った声と柔らかな笑顔で誘った。その動作が合図のようで、古泉は弾力のある胸に顔を埋める。
子供をあやすように古泉の後頭部を撫でると、くぐもった笑い声を上げた。左手は古泉の髪を撫で続けて右手は下肢に伸ばす。慣れた手つきだが丁寧で、古泉は気持ち良さそうに身を委ねていた。
森は動作を続けながら小さく言葉を漏らす。
「わたし達、って…」
はっとして続く言葉を呑んだ森は首を振って
「っ何でもありません」
心配そうな顔を上げた古泉を安心させるべくいつもの笑顔を作った。
古泉と森はいわゆる「恋人同士」の間柄では無い。
森が初めて古泉に出会った約3年前、古泉は突然背負わされた使命の重圧に耐え切れず塞ぎ込んでいた。機関の指図などでは無く森園生自身が、心身共に荒んだ少年を哀れんで接触をもった。
最初は軽い同情心からくる1回限りのサービスのつもりだったかもしれない。しかし現在に至るまで3年もの間、閉鎖空間が発生する度に今日のような行為を繰り返してきた。
森は依存しているのは自分の方で、結果古泉の道を踏み外させてしまったことに対し罪悪感に苛まれていた。
己の手の差し伸べ方は間違っていたのだろうかー
「森さんがいらっしゃらなかったら僕は今頃この世にいなかったと思います、だから」
古泉は幸せをかみしめた笑顔で続けた。
「もう少し…傍にいさせて下さい」
どちらともなく指先を触れあわせ手を握った2人は、暫らく見つめ合いゆるやかに微笑んだ。
森が右手の動きを速めて、古泉は自身の弱い場所を擦られると全身を震わせて精を吐き出した。そしていつものように、まるで気を失ったように眠りに落ちる。森が身体を支え横たわらせて布団を被せると、ベッドが一気に狭く感じ古泉の大きさを実感させられる。
「神様」が力を失って閉鎖空間の発生が無くなればこの行為は意味を失い、古泉は自分を不要に思うだろう。森もまた、古泉と一緒にいられる現状が続くことを望んでいた。
「ごめ…んなさい……」
布団の中から掠れた小さな声が上がった。森はびくりとして古泉の顔を覗き込んだが、変わらず穏やかな寝息を立てている。
夢の中で一体誰に対して謝罪しているのだろうか。
森は古泉の頭を抱き込んでひとりごちる。
「わたし達が、もし」
僅かに射し込む陽の光に照らされた森の表情から、常に変わらず浮かべていた笑みが消えている。
「神様とか超能力とか機関とか、なにも関係の無いー…別の場所、違う形で出会えていたなら……」
普通の恋人同士になれただろうか
お陰さまで続きも書けました。次回完結です。性的描写はほとんどありませんがお読み頂ければ幸いです。弱いままの彼らが良ければ見ないのもテですぞ(←弱いままにしとこーかなーとも思ったクチ)
2008/2/15